コロナウォッチャー

4月7日の緊急事態宣言。国民として協力していくことは当たり前ですが、収束を祈りながら感染者数を観察していきます。

日本のコロナ対策=専門家会議 を「結果」から評価する

 今日は一日暑かった。毎日自宅にいると、さすがに運動不足で体がなまる。ちょっと駅まで散歩した。パチンコ店やQBハウスは休業していた。働く人たちを思うと、本当に早く終息してほしいと願う。

コロナ対策は結果から判断しよう

 夕方、専門家会議の提言公表の記者会見が行われた。ライブ放送をYouTubeで見たのだが、チャットの罵詈雑言の酷さに呆れてしまった。今の日本のコロナ対策と感染者状況の結果がどうであったのか、冷静に判断できない人がいかに多いことか。本当に驚いた。

 まず、日本はどんな対策、作戦でこの未知のウィルスに立ち向かったのか。見直してみたい。下記に日経新聞のネットニュースを引用する。加藤厚労相が、対策強化を説明する記事だ。この日は2月23日、感染者数は、累計で132人(記事中では129人)、死者1人であった。この時に医療崩壊を恐れた専門家会議は国に警鐘を鳴らしたのだ。

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2月23日 コロナ対策強化を説明する加藤厚労相 (日経新聞

新型コロナ:厚労相「流行ピーク抑えたい」 新型肺炎、拡大の移行期 (写真=共同) :日本経済新聞

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専門家会議の新型コロナ対策のイメージ

 図を改めて貼り付けた。患者数や時間軸に具体的な数値は無いが、コロナ対策の方針を分かりやすく示しており、戦略は明確だ。クラスター対策でピークを抑え、医療崩壊を防ぐことであった。

 結果はどうであったのか。いつもの感染者グラフを見てもらえば、日本が感染爆発を起こさず、緩やかな増加速度で推移していることが分かると思うが、より分かりやすくするため、世界の主な国との比較で見てみたい。

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世界の感染者数累計(4月30日 WHOデータより)

日本は、優等生のシンガポールやタイ、ベトナムと同じグループだ!
 このグラフを紹介するのは初めてなので解説する。横軸は日付、縦軸は累計感染者数だが、対数目盛になっている。こういうグラフを片対数グラフという。欧米の感染者数が多すぎて同じグラフに表すには便利であり、また対数の方が、感染速度が分かりやすい。累計曲線の立ち上がりが急峻な方が当然、感染速度が速く、直線に近づくほど緩やかになる。

 グラフを見れば分かる通り、日本は、感染者数が少ないシンガポール、タイ、ベトナムと同じような、赤い点線で囲われた感染速度のグループに入っていることが分かると思う。もっとも最近シンガポールは感染者が急増している。また、ベトナムはほぼ収束している。もっともベトナムデータが最近更新されていないので、やや注意だ。韓国も収束しているが、当初は感染速度が速かったことが分かると思う。

 この立ち上がりが急峻であるほど感染速度が速いわけだが、医療崩壊を起こすかどうかは各国の医療環境によるのだ。それは感染対応できる病院や医療技術者、保健所の人数、検査能力、ICU、人工呼吸器など様々なリソースの状況によって取れる戦略が変わってくるのは当然のことだ。韓国は成功例と言われているが、MARSの経験や徴兵による医療人員の振り分けなどの環境が要因と言われている。

評価指標は感染者数?死者数?…感染速度だ!

 感染速度について考察してきたが、日本の感染者数は少ない、PCR検査数が少ないからだ、いや死者数で見るべきだ、などネットやテレビでは賑やかだ。それらも大事だが、絶対値で見るのではなく、感染速度、死者増加速度でみるべきだと思う。つまり推移をみることが重要。今日は○○人だった、と報道されてもよく分からないのである。

 だから私はPCR検査を増やせ、という声がよく聞かれるが、やたらに増やすべきではないと思う。もちろん必要な人がすぐに受けられるような環境するべきだと思うが、急に検査基準を変えると感染速度が測れなくなってしまうからだ。当然、検査に当たって、検査技術者、検査機械、試薬などリソースが急に増やせる環境に無いことも考慮する必要があると思う。

 以上から日本は相当優秀だと思う。まだまだ医療関係者の負担が大きいと思うが、自粛、8割接触削減の効果により、医療崩壊までには至っていない。我々国民は冷静に状況を判断し、無責任に批判するべきではないと思う。